まどろみ 「・・・紫苑」 彼のよく通る美しい声が名前を呼ぶ。 とろりとした曖昧な夢の中、その声だけがじわりと耳に染み込んでいく。 まるで母の胎内にあるかのような心地よさ。 不思議な安らぎに満ちていた。 「・・・紫苑!」 答えない自分に焦れたように、もう一度呼ばれる。 だけど、まだこの心地よい微睡の中にいたくて、逃げるように身じろいだ。 「おい、紫苑!」 「・・・な・・・に・・・?」 「朝だぞ、起きろ」 肩を揺さぶられ、ようやく今にも塞がりそうな重い瞼を持ち上げる。 ぼんやりと開かれた瞳がふらりと宙をさまよい、眠りを破る者を見つけた。 劇場の舞台に立ち、他人を魅了することができる稀有な美貌が、面倒そうな表情を浮かべてそこにあった。 「まだ早い・・・よ・・・ネズミ・・・」 「あのな紫苑今何時だと・・・って、お、おい!」 まだ何か言おうとする相手の言葉を綺麗に無視して、するりと伸ばした腕で抱き寄せるように引き寄せた。 ああ、思った通りだ。なんて温かいんだろう…。 普段は少しだけ低い彼の体温も、今はほんのりと温かくて。 なんだかそれが、とても嬉しい。 「たっく・・・人の話を聞かない奴だな、本当に」 「ん・・・」 「・・・仕方ない・・・か」 すぐ間近に聞こえる声がため息を吐く。 そのまま、抱きしめ返され、紫苑の身体がよりいっそうの温もりに包まれた。 「今日だけ、だからな!」 聞いているのか、紫苑! 「はい・・・はい・・・」 生返事をうつつに返し、また、深い眠りに落ちていく。 耳に伝わる鼓動が優しい子守唄のようで。 ひどく、安心した。 END 初NO.6ですが・・・どこら辺がCPなんだろう?と思ったり。 普通?普通っぽくないですか?むしろ原作の方がすごいのですよ。 一緒のベッドに寝ていたり、お別れのキスなんかしちゃったり・・・あれは本当に児童書なんでしょうか?そこら辺がとっても気になる今日この頃です(笑) 原作でもそうですが、ネズミってかなり紫苑に甘いような気がするんですがどうでしょう? →ブラウザのバックボタンでお戻りください。 |