初めて聞いたのはいつだっただろう・・・?










「・・・ジョミー・・・」



「ジョミー・・・?」



ああ、ブルーの声だ。

僕を呼んでいる。穏やかで優しい声。

深い深い眠りの中、響いた声に心が揺れる。
あの人の声はどうしてこんなにも綺麗なんだろう。声質が、とかそんなレベルの話じゃなくて。心地よい・・・そう、それがきっと一番ぴったりくるんだ。何度だって、いつまでだって聞いていたい、そう思わせるあの人の声。大好きな声。

「寝てしまっているのかい、ジョミー?」

囁くような声とともに髪に触れる指先。どこか恐る恐るといった感じで触れている指先に、少しだけ悲しくなる。この逃れようのない運命に引き込んだという想いからくる恐れだろうか。誰も見ていない時。硝子にでも触るかのような繊細さで。彼は僕に触れる。



・・・拒絶されることを恐れるように。



そんなこと・・・あるわけないのに。
まどろみの中、ぼんやりと思う。
僕がどれだけあなたのことを好きか、身体の奥へ奥へと謳うように響く声が、どれだけ僕を癒し、包んでくれているのかきっとあの人は知らない。



たった一人の傍にいたい人。

彼が選んで、僕が選んだ。

運命の人。



ただ傍にいるだけじゃなくて。
肩を並べて、同じ道を進んで行きたい。
その時間も、もうあまり残されていないけれど。



それでも、僕は。



―――あなたの、傍にいたい―――



「ジョミー・・・」



触れられている指先が、震えたような気がした。
そっと、柔らかな優しい感覚に身体全体が包まれる。
あまりの心地よさに、より深い眠りへと意識が急速に沈み込んで行く。
最後の意識が眠りの泉に沈み込む瞬間。
小さな声が、聞こえた気がした。
その言葉の意味を理解する力すら、もう残ってはいなかったけれど。
届いた優しさと嬉しさが混じった想いだけ、身体が覚えている。



祈るように。

願うように。

届いた、たった一つの想い。



―――僕も、君の傍にいたいよ、ジョミー―――










END




ジョミブル・・・のつもりだったりしますが。ちょっとメルヘンチックを目指してみました(笑)


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