キミノ、ソバニ。






「ブルー!」

駆け寄るように抱きついて離れない幼子を、そっと優しく抱きしめる。きゅうっとしがみつくようにエプロンの裾を握られ、あまりの微笑ましさに笑いが零れた。

「はは、ジョミーはいつも元気だね。でも今はお昼寝の時間だろう?」

ちゃんと皆と一緒に寝ないとダメじゃないか、と眉根を寄せたブルーに、俯いたままジョミーが小さく呟いた。

「・・・どこに行ってたの、ブルー」

「こらこら、ちゃんと先生と呼びなさい。先生はね、他の先生方とお話があったんだよ」

どうしたんだい?と微笑まれ、すんと拗ねた瞳が向けられた。

「だってお昼寝して目が覚めたらブルーどこにもいないんだもの」

傍にいてくれないとイヤだ。

たくさんいる園児の中でもことのほか懐いてくれるこの子はブルーにとっても愛しい子。やだやだと駄々をこねるように傍にいてくれと願われ、ブルーの心にも温かな想いが満ちる。だけどそれはそれ。これはこれ。そっと抱き上げ、拗ねる瞳を覗き込む。

「ジョミー・・・先生もね、ジョミーの傍にいたいよ。だけどお仕事だからね、仕方がないんだ」

「やだ!ブルーの傍にいたい!」

胸元に押し付けるように顔をこすり付けられ、いっそうしがみ付かれた。離さない!とばかりのその行動に、このままでは埒があかないなとしばし思案する。

「じゃあ、一緒にもう一度お昼寝しようか」

それなら機嫌なおしてくれるかい?

ブルーの言葉にジョミーの心が大きく揺り動かされたのが、ぴくりと動いたふわふわの金髪で分かった。

「ジョミーが眠るまでお話もしてあげるよ」

ダメ押しとばかりの好条件に、頑固なジョミーもとうとうこくりと頷いた。

「・・・ソルジャーのお話がいい」

「いいよ、じゃあ、皆のところに戻ろうか」

「うん!」

子供の機嫌はまるで天気のように変わりやすい。
拗ねていたのにもう満面の笑顔で笑うジョミーに、ブルーもそっと笑った。
どうも僕はこの子に甘いな。
そう思いながらも、結局ジョミーの望むとおりにしてしまうであろう自分に、こっそりため息を吐いた。



結局、自分もこの子の傍にいたいのだ。










END




以前日記にて書き殴ったものをこちらに移動させました。
初保父さんブルーでした。


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