「なー先生・・・」
「なんだ?」
「先生ってオレのこと本当に好きなの?」
「好きだゾ〜?何回も言ってるのにまだ信じられないのか?」



ナルトが入れてくれたコーヒーを飲みながら、自分の家で愛読書を読んでいたカカシ。
大人の余裕で?
ナルトの疑問に答えていたけれど・・・
その余裕は、次に発せられたナルトの言葉で霧散した。



「だって、先生ちっともオレのこと抱こうとしないってばよ」
「ぶッ」
思わずその言葉に飲んでいたコーヒーを噴き出した。


「あ!汚ねーってばよ。もう・・・何してんの?」
ナルトは自分の言った言葉が持つ影響力を知らないのか、
「しょーがない先生」
と呟きながら、机の上に広がった染みを布巾で拭きとっている。


「な、ナルト?」
お前なんでそんなこと・・・
今だ驚きから立ち直れないカカシは?
それでも話題が話題なだけに放ってはおけなかった。
「え〜と、・・・それは〜?」
急に言葉を濁し出したナルト。
染みを拭く布巾を必要以上にごしごしと動かす。
「誰かに何か言われたのか?」
「そ、そんなことないってばよ〜?」
と言いつつも声が上擦っている。
「ナルト」
声のトーンを低くして、真剣な眼差しで尋ねれば・・・
ナルトが答えずにはいられないことはよく分かっている。
小さく溜め息をついて、ナルトは渋々話し出した。


「サスケが・・・」
「サスケが?」
あいつ、また何かやったのか?
冷静な表情の下・・・気が気で無いカカシ。
「サスケが・・・カカシ先生はオレのこと好きじゃないんじゃないかって・・・」






不安







それは夕方のこと。
任務終了後の帰り道。
たまたまサスケと一緒に歩いていた時のことだった。
ナルトが一方的に話しかけるという状況の中で?
ふいにサスケが口を開いた。



「おい、ドベ」
「ドベじゃねー!!」
その呼び方にムカッときたものの・・・
今まで反応が無かったサスケからの初めての反応に?
おとなしく聞き返す。
「なんだってばよ?」
そんなナルトをどこか切なげな瞳で見つめながら、サスケは言葉を続けた。
「お前・・・カカシとどこまでいってるんだ?」
「!!!」
ナルトとしては?
隠していたこと
隠していたいこと
動揺を隠せないまま答える。
「な、なんのことだってば・・・」
心臓は早鐘のように鳴り始め、
頬はいっきに真っ赤に染まった。
サスケは一瞬、苦しそうな表情をした後・・・いつもの無表情に戻った。


だから・・・ナルトは気付かなかった。
そんなサスケの様子に。


「その分じゃ・・・まだキス止まりだろ」
自分の否定の言葉を聞かずに断言するサスケにムッとする。
「サ、サスケには関係ねぇーってば!!」
「ふん、本当にカカシはお前のことが好きなのか?」
「す、好きだって言った!!」
動揺しまくりのナルトは?
すでに自分で暴露していることに気付いていない。
「ふーん」
サスケがじっとナルトを見る。
その瞳の力強さに居心地の悪さを覚え、ナルトはここにいることが苦痛になってきた。
「何が言いたいんだよ!」
「本当は好きじゃねぇんじゃないか?」


抱きもしないなんて


その言葉を聞いた瞬間
頭にいっきに血が昇る。
気が付けばサスケの頬を思いっきり叩いて・・・走り出していた。
「サスケなんか大っ嫌いだってばよ!!」
そんな捨て台詞を残して・・・。



ナルトが走って消えた方向を見つめながらサスケは呟いた。
「大嫌い・・・か」
オレの気持ちなんて全然考えてないだろ、ドベが
サスケの報われない恋を・・・ナルトが知るはずもなかった。





そして・・・
走り出したもののナルトは?
すぐにその走りは遅くなって、歩きへと変わり・・・最後には止まってしまった。
「・・・そんなことないってば・・・」
大丈夫!
カカシ先生はオレのこと好きだって
好きだって言って・・・キスしてくれたもの
サスケの言うことなんか当てになるもんかッ


でも?
頭をよぎるさっきの言葉

―――好きじゃねぇんじゃないか?―――

どんどん不安という感情が?
すべての感情を飲み込んで行く。


じゃぁ、どうしてキスだけなの?
それ以上のことは・・・?
好きな者同士なら普通にすること・・・
先生・・・言い出したこともないってばよ・・・
やっぱり・・・?
サスケの言う通りなのかな・・・













「で?急にオレの所に来て、あんなこと言い出したのか」
は〜と頭を掻きながら溜め息をつくと、
ナルトがはっとしたような表情をして顔を上げた。
「呆れた?先生・・・」
ぎゅっとカカシの服の裾を掴む。
不安に揺れる瞳が愛しい。
「バカだな〜ナルトは」
くすくす笑いながらその手を取り、自分の方へと引き寄せる。
「好きだよ」
「でも・・・」
「ちゃんと好きだから」
「だって・・・」
それでも不安を映す瞳にとうとうカカシは決意する。
「どーなっても知らないよ?」
誘ったのはお前だからな
オレはずっと我慢してたのに・・・
「それでもいいってば!」
先生になら・・・何されてもいいんだから!
嬉しそうに首にぎゅっとしがみつくナルトを、カカシは優しく抱き上げ寝室へと運んだ。




まだ夜は?
始まったばかり・・・






END





朝の20分・・・昼の10分・・・
そんな時間にはっと思いついてメモ用紙に書きなぐったものですι
・・・何を考えていたのでしょうか、私は。
というかこれの続き・・・あります。
初めての裏小説でした・・・。
しかし、今回サイトの移転に伴い削除させて頂きました(爽やか)
この先、UPすることはありません。
これ以上恥はかきたくないですから。


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