≪あれが噂の不二先輩 〜おまけ〜≫ |
今日の5限目は体育だった。 女子は体育館でバレー、男子は運動場でサッカー。 どうということのない、中学生らしい普通の授業。 まぁ、とにかく、早めに着替えた不二に菊丸、そして数人のクラスメートは、昼休みも半ばという時間帯にはもう運動場に出ていた。 「不二〜ストレッチでもやんない?」 「そうだね。ちょっと早く出過ぎちゃってヒマだし・・・」 菊丸の提案に頷き、不二はストレッチを始めた。 同じようにストレッチを始めた菊丸がふと、不二に笑いながら言った。 「ねぇ、ねぇ、不二?あそこ」 「え・・・?」 「ほら、あの2階」 おチビちゃんがいるよ〜 言われて振り仰いだ校舎の2階。 窓から身を乗り出すようにしてこちらを見ている数人の女の子達の、すぐ隣りの窓に、リョーマの姿が見えた。幾分か眠そうに身を起こした姿にくすりと笑みが零れる。 それを見た菊丸が笑って言った。 「おチビちゃん、眠そうだね」 「うん。そうだね。リョーマ君にとって昼休みはお昼寝の時間みたいらしいよ?」 「お昼寝〜?おチビちゃんもまだまだお子ちゃまだったんだ〜」 「あはは、あれは仕方ないんだよ。昨日はなかなか寝させてあげられなくて・・・」 「ふ〜ん・・・って・・・ええ!?」 ど、どういうことにゃ〜〜〜? 分からないというよりは、分かりたくないという気持ちが強いかもしれない。 冷や汗を浮かべて、小首を傾げた菊丸に、膝を曲げながら不二がにっこり笑った。 「ふふ、聞きたい?」 「・・・いや、遠慮しとく」 不二の言葉に即行で首を振り、菊丸はこっそり汗を拭った。 不二って時々健全なボクには分かんにゃいこと言うよね・・・ そう思う辺りすでに健全ではない気がするが、まぁそれは置いておこう。 内心焦っている菊丸を横目に、不二はもう一度2階を見上げていた。 「あ・・・」 窓の外を見ていたリョーマと視線があう。 ようやく気付いてくれたのかと、不二は嬉しくなった。 驚いたように見つめ返すリョーマに、嬉しくなった気持ちのまま微笑む。 それは好きな人だからこそ向けることのできる、優しくて柔らかな笑顔。 リョーマに対する気持ちそのままの・・・いつもとはまったく違う微笑みだった。 周囲にいた人間がその笑顔に見惚れて、動作を止める。 あの人をくったような普段の微笑みからは想像もつかないような微笑みに、何かを思う前に身体が自然と動きを止めていたのだ。 しかし、リョーマの姿はすぐに窓から消えてしまった。 残念に思わなくもないが、だけど不二にはどうしてかなんて分かり過ぎるほどに分かっていたので、くすりと小さな笑みを零した。 「ほんとかわいいんだよね〜リョーマ君は」 そんな不二に菊丸が脱力したように言った。 「不二って・・・キレイなのに・・・オヤジだよね」 心外である。 END 2222hit代理リク小説のおまけです・・・。 これは不二先輩からのお話ですね。 そして健全ではない雰囲気をそこはかとなく漂わせていたりします。 しかしですね〜この不二先輩はミステリアスと言うよりは、オヤジです(笑) 実は私・・・かっこいい不二先輩はもちろん大好きなんですが、オヤジっぽいのもかなり好きなんですよ。 だから今回こんな感じになりました(笑) 苦情は一切お受けしませんのであしからず。 →前 →戻 |