ハジマリノウタ T






爽やかな風と共に教室のドアがからりと開いた。
いつものように入ってきた先生の後に、続いて入ってきた人物に教室の中がざわめく。
誰・・・?あの子、転入生?
おい・・・お・・・とこだよなぁ?
学ラン着てるから・・・そうだろう?
かわいい・・・!ううん!かっこいい!!
教卓に手をつき、それをぐるりと見まわした先生が、ちらりと隣りに視線を送りながら言った。

「あー今度このクラスに転入することになった不二だ。皆仲良くしてやってくれ」
「初めまして、不二周助です。よろしくお願いします」

軽く会釈し、その動きによってさらりと流れた透き通るような茶色の髪。
それに縁どられた端正な顔がにっこりと微笑んだ。

「「・・・っ!!」」

その微笑みに、一瞬で教室内は静寂に包まれた。
誰も彼もが不二に、そして不二の微笑みに見惚れてしまったのだ。
教壇に立っていた先生ですらその例外ではない。
惚けたように見つめる視線に、不二が困ったように小首を傾げた。

う〜ん・・・皆大丈夫なのかな?

そう思った時、ふと感じた注がれる視線とは違う視線に、不二は目を向ける。
窓際から感じたその視線の持ち主は、眼鏡をかけた一人の少年だった。
明らかに他者とは違う、確固たる意志を秘めたような眼差し。

へぇ・・・おもしろいね
そんな目で見る人なんて今まで見たことないよ?

我関せず・・・とばかりに淡々と自分を見つめるその少年に、不二は興味を覚えた。
惚けたままの先生に一言断り、不二はまっすぐにその少年の下へ向かう。
彼の机の前で、不二は足を止めにっこり笑った。

「ねぇ、君は何て言う名前なの?」
「・・・手塚だ」
「そう。手塚君て言うんだ」

それが何だ?と眉を寄せながらも律儀に答える少年―――手塚に、不二は滅多に見せない極上の笑顔で微笑んだ。

「手塚君、僕と友達になってくれないかな?」
「・・・別に・・・構わないが」
「良かった!じゃぁ、よろしくね!手塚君!」

不二のいきなりの言葉と笑顔に、ほんの少し動揺しながらも静かに答えた手塚に、不二は笑って手を差し出した。
その手に戸惑いながらも、自分の手を差し出し、握手した手塚。
それが・・・後に我が青春学園中等部テニス部部長と、天才と呼ばれる少年達の出会いだった。










END


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≫≫≫リク内容
転校生・不二周助と手塚のお話。


6000hit代理リク小説です。
申告はなかったんですが、Marさんがなんとキリ番が欲しい!!と申し出てくださったのですvそのお気持ちがすごく嬉しかったので、6000hitのリクエスト権を差し上げることにv
えと、不二先輩が”転校生”だなんていう設定は、実はWJ39号から私が勝手に想像させて頂きましたvvええ、このお話・・・パラレルではないんです。あくまでも原作に沿った・・・ということで。
何故転校生なのか・・・と申しますと、過去の回想シーンに手塚と大石しか出てこないからです。天才である不二先輩が、1年の新入部員の中に埋没していたはずがない!!あんなにすごい不二先輩に目を奪われない人なんているはずがないんだ!!と私にはどうしてもWJの過去話が納得できなかったのですよ。そうしたらうちの姉上さまが一言。

「不二先輩は転校してきたんだよ」

その言葉に私はいたく納得してしまいまして・・・。
それで折り良くメールをくださったMarさんに、思わず思いの丈をぶつけてしまったのです。
この「ハジマリノウタ T」がそのメールに書いた走り書きのようなお話です。
そうしたらMarさんがこの続きを見たいと仰ってくださいまして・・・こうして6000hitのリク小説となることになったのでした。
これは「ハジマリノウタ U」に続きます。
手塚と不二先輩しか出てこないお話ですが、よろしかったらどうぞ〜vv(^^ゞ


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