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「そうだな……じゃあ、まずはパンツ脱いじゃって」
 軽い調子で言って、カカシは煙草に火を点けた。最初に大きく吸い込んで、ぷぁっと濃い煙を吐き出す。何となくそれを見届けてから、ナルトはおずおずとスカートの中に手を入れた。
 この屋敷で働く少女達は、みな決まった制服を着ている。黒いワンピースは前ボタン式で、首周りだけブラウスのようなデザインの切り替えになっている。その上に縁にフリルをあしらったエプロンを着け、衿元には黒い紐リボン。それだけではない。ペチコートや、白いタイツにシンプルなガーターベルト、更に下着まで、全てが支給されるのだ。当然、唯一少年でありながらメイドとして働くナルトも例外ではない。今ではすっかり慣れたが、最初のうちはあまりの羞恥に倒れてしまいそうだった。
 横から親指をかけ、一気にずり下ろす。靴を履いたままだったので、足を抜く時に少し苦戦した。何とか両足共抜くと、ナルトはそれを丁寧にたたんでポケットに入れた。
「次、上はだけて」
 言われるままに、まずはエプロンの前当てを外すために腰に手を伸ばす。前当ての肩紐は、背中で交差して腰の後ろでボタンで留めるようになっているからだ。手探りでボタンを外せば、白い肩紐がひらっと流れて落ちた。次は、リボン。自分で結ぶのが苦手で、いつも朝他の子に頼んで結んでもらうそれ。今朝はサクラが結んでくれた。それをしゅっと簡単に解いて反対側のポケットにしまい、最後にワンピースのボタンを一つずつ外していく。
 室内は暖かく、肌を外気に晒しても寒くはなかった。
「ん。じゃあここに寝て」
 トントン、とカカシが杖で足下を叩く。
「えっ…?」
 てっきりこのままストリップを強要されると思っていたナルトは、予想していなかった展開にビックリして顔を上げた。そんな少年に「ん?ホラ」とカカシが銜え煙草で顎をしゃくる。
「……………」
 何が何やら分からないまま、ナルトはカカシの足下にコロンと横になった。
 それきり、カカシは次の指示を出さなかった。ただ黙って煙草を吹かし、椅子の上から舐めるような視線で少年の姿を眺める。頭の先から顔を通り過ぎ、白い胸の上を少し彷徨った後下肢へ移る。下着を取り去った部分をスカートの上から透視するようにじっくり見詰め、ピッタリと閉じ合わされた膝を上って一気に爪先まで駆け下り、再び逆の順序を辿って顔まで戻ってくる。
 絨毯の上に体を投げ出して、ナルトは羞恥に身を震わせた。どうしたら良いか分からなかった。こんなのは初めてだ。椅子に腰掛けた主の足下に無防備に横たわり、その視線に晒される。何をされているわけでもないけれど、この異様な状態がひどく恥ずかしかった。
「どうしたの?」
 笑いを含んだ声でカカシが言った。
「首まで真っ赤だよ?」
 そうして、杖の先でつぅっと胸をなぞる。動くのが面倒臭いとでも言いたげな、ひどく緩慢な仕種。
「………ぁ……っ」
 掠るように気紛れに肌の上を移動していた杖の先が、不意に小さな突起を捉えた。ぴくりと小さく跳ねて、ナルトが微かに声を洩らす。
「……っ、ん…ん……ッ」
 カカシは執拗に其処を狙った。硬い杖の先が、敏感な突起を突付き、押し潰し、捏ねる。それは未知の感覚だった。今まで、カカシの指や舌によって散々弄ばれたことはあったが、こんな物で責められたのは初めてだった。
 悠然と座るカカシの足下に寝転び、杖の先でいたぶられる。ピリリと胸に走る快感に声を上げれば、上から見下ろすカカシが満足そうに目を細めて。
「やぁ…っ…あ、は……あぁ……」
 紅く色付く果実を左右交互にコリコリと嬲られて、ナルトは声を抑えることができなかった。何かが体を熱くする。いつもとは違う、見知らぬ感覚。けれどその度にカカシが笑うので、少年は唇を噛んで羞恥に耐えねばならなかった。
「へぇ、こんなことされて気持ちイイの?」
 言って、カカシは少し強く乳首を押し潰した。
「アぁ…っ!」
 途端に上る嬌声。ナルトは真っ赤になって顔を逸らした。こんなのは異常だ。どうかしている。そう思うほどに、内側から火を点けたようにジンジンと下肢が疼いた。
「ナルト……足開きなさい」
 杖を引いてカカシが命じた。
「……………っ」
 ひくっと息を飲んで、ナルトはおずおずと足を開き、膝が崩れないように外側から手を回して抑えた。ここへ来た最初の晩、初めてオシオキを受けた時に教えられたことだ。ぺろりと捲れたスカートの下から現れたのは、不相応な器官。少年の雄を証明する部分。それが今、乳首の刺激に触発されて熱を持ち始めている。
「感じちゃったんだ…?」
 うっとりと目を細めて、カカシは杖を伸ばした。頭をもたげようとしているそれをひょいと掬い上げる。そのまま器用に裏筋を撫でてやれば、幼いナルト自身はすぐに硬く熟した。
「んっ、あっ……ぅン…!」
 目を潤ませてナルトが喘ぐ。疼く中心に与えられたのは軽く掠るだけのもどかしい感触だったが、たまらなく気持ち良かった。足元に転がされて、ろくに動こうともしない主に上から見下ろされ、杖なんかで玩具のように嬲られる。この異常な“オシオキ”にどうにかなってしまいそうで、ナルトはきつく唇を噛んだ。快楽に流されてしまうのが怖かった。
 少年の葛藤を見透かしたように、カカシが靴の爪先でちょいっとナルトの先端を弾いた。
「ヒぁ…あッ…!」
 ナルトはビクリと全身を強張らせた。
「イヤラシイ子だね、ナルトは。苛められるのがそんなに嬉しいの?」
 言って、彼は追い討ちをかけるように、ナルトのヒクつく先端を靴の底でザリ、と擦った。
「───ヤぁぁあッ!!」
 最も敏感な部分を乱暴に容赦無く扱われ、その痛いほどの刺激にナルトはぎゅっと背を丸めて果てた。ビュクビュクと白い粘液が噴き出し、飛び散る。一週間前、花瓶を割ってオシオキされた日以来の吐精に、少年は一瞬意識を飛ばして痙攣した。
 目尻から耳に零れた滴の冷たさに我に返って、忘れていた呼吸を再開する。大きく胸を上下させて主を見上げれば、顔の上にぬっと靴が差し出されて。
「ここ……」
 たしっと杖が靴の先を打った。
「付いちゃったよ。どうしてくれるの?」
 何のことか分からず一瞬呆けた後、ナルトはもそもそと力無く起き上がった。絨毯の上にぺたりと座り込んで見回すと、随分遠くまで白い点が散っている。少年は頬を赤らめて視線を主の靴に移した。
 よく磨かれ、ツヤツヤと黒光りする革靴の爪先、その滑らかな立体カーブの表面に、白濁の粘液が一滴。バツが悪そうに小さく肩を竦めて、ナルトはそっと手を添えた。どうすれば良いのかは分かっていた。
「………………」
 ちろりと舌を出して顔を近付ける。ぬる、と舌先に冷たい感触。味を感じないうちに急いでこくりと飲み込み、更に綺麗に痕跡を舐め取る。一通り舐め清めて、ナルトは目でカカシを見上げた。
 くすくすとカカシが笑った。そうして、煙草の火を灰皿に押し付けて揉み消すと、胸元からしゅっとナフキンを引き抜く。それで無造作に杖の先を拭い、彼は唇の端を吊り上げた。
「ナルト……」
 声と同時に、トンと、杖の先で顎を持ち上げられる。ぼんやりと瞬く少年に、カカシは言った。
「これも綺麗に舐めてよ」
「…………」
 目を伏せて、ナルトは杖の先を口に含んだ。さっきまで、自分の体を散々にいたぶっていた物。執拗に乳首を弄繰り回され、その度に鳴かされた。けれど、下肢には殆ど触れてくれなかったこれ。口を窄めて吸い付き、ピチャピチャ音を立ててしゃぶりながら、ナルトはもじもじと尻を揺すった。思い出すだけで再び体が熱くなった。
「ン……っふぅ……」
 鼻にかかった甘い声を洩らして、ナルトはカカシ自身にするのと同じように丁寧に愛撫を施した。そうすると、カカシが喜ぶのが分かっていたからだ。ちゅぱちゅぱと吸い扱きながら目を上げれば、カカシが満足そうにうっすらと笑って杖を引いた。
「いい子だね……」
 彼は身を屈めてくしゃりと金色の髪をかき混ぜた。ご褒美のつもりなのか、それはひどく優しく、温かかった。
「こっちにお尻を向けてごらん」
 命じられて、ナルトは刹那躊躇した。最後の理性が彼を不安にさせたからだ。けれど、カカシは飽くまで優しい声でこう言った。
「どうした?」
 それからにやりと口元を歪ませる。
「もっと苛めて欲しいんでしょ?」
「……………っ!」
 カッと頬に血が上った。決して自分では認めたくない、けれどどうしようも無く体が求めてしまう現実。それを敢えてはっきりと言葉に表されて、ナルトは羞恥と屈辱に震えた。見透かされている。“オシオキ”だから、主人の命令は絶対だからと思うことで、欲望に気付かないふりをしていた。無理矢理従わされていることであって、決して自分が望んだことではないのだと、自身に言い訳をしていた。けれど、今自分を見下ろす片方だけの紺色の瞳は、彼の心の内を完全に見透かして残酷な言葉を投げかける。ナルトは体だけでなく、心まで震えた。これではまるで、自分が主を満たすために命令に従っているのではなく、主が自分を満たすために命令してくれているようではないか。
「ぃ…やぁだぁ……っ」
 くしゃと顔を歪ませてナルトは首を振った。イヤイヤと、主の言葉と己の欲望を否定する。けれど、そんなものは最早抵抗とも呼べなかった。カカシがぴしゃりと止めを刺す。
「そ。じゃあやめよっか。もう下がっていいよ」
 ひらひらと虫を追い払うような仕種で手を振って、カカシは再び煙草を銜えた。その目はナルトに一瞥さえくれない。
「…………ッ」
 少年は唇を噛んだ。下肢がジンジンと疼いて膝が震えた。嫌だ。このままでは終われない。ぎゅうっとスカートの裾を握り締める。こんな中途半端なままでは我慢できない。体の奥の、最も淫らな場所に触れてもらわなければ満足できない。少年をこんな体にしたのは、間違い無く今目の前に座っている男だった。
「…………………」
 ナルトは恐る恐る腰を上げた。その場でくるりと背を向け、尻を掲げるように上半身をぴったりと伏せる。震える手を伸ばしてスカートを捲り上げれば、カカシが可笑しそうにくすくすと笑った。
「やっぱり苛めて欲しいんだ」
 そうして、ナルトがしゃぶった杖の先を引き出しから取り出した小ビンの中に突っ込む。ビンの中身は、とろりと波打つ半透明の液体。それがぬるぬると、ランプの光を粘っこく反射している。
「───で、ナルトはどうして欲しいの?」
 小刻みに震える少年に、カカシが尋ねた。行動だけでは足りず、きちんと本人の言葉で言わせたいらしかった。
 ぬるっと尻を突付かれて、ナルトはびくっと全身を揺らした。けれど杖の先は中心には近寄ろうともせず、気紛れに緩やかな丸みの上を彷徨っている。何とか導くように腰を捩ったが、カカシはすいっとかわして決して触れようとしない。
「……………ぃ…れて……っ」
 とうとう、少年は掠れた声で懇願した。理性が悲鳴を上げて崩れていく。
「……それ…お尻…穴、に……挿れて…下さいぃ……っ」
 啜り泣きながら、ナルトは尻を揺らした。小さな紅い蕾が、快楽を求めてヒクヒクと花弁を震わす。死んでしまいたいほどの羞恥。けれど、もう我慢できない。
「よろしい」
 にんまりと笑って、カカシは愛らしい蕾にずぶりと杖を差し込んだ。
「───あぁーッ!」
 無理矢理こじ開けられる痛みにナルトが悲鳴を上げる。
「…あっ…うぁ……んぅ…っ」
 硬い杖が浅く出入りする。入っては戻りを繰り返し、徐々に奥まで進んでいく。ナルトは短い息を吐きながらヒィヒィと喘いだ。蕾は未だヒリヒリと痛みの余韻を残していたが、内壁は痛みどころか快感に戦慄いている。
「ンン、ん……ぁ…はぁぁ…!」
 ぐぷ、と最奥まで貫かれて、ナルトはぎゅうっと絨毯にしがみ付いた。硬くて冷たい物が直腸内の狭い隙間をいっぱいに満たしている。正しく棒を飲み込んだように体が強張って身動きできない。
「ホラ、挿れたよ?」
 可笑しそうにカカシが言う。
「やぁ……っ」
 ナルトは泣きそうになって首を振った。こんなんじゃない。欲しいのは、もっと………
「…っと……動かしてってば……っ」
 涙交じりの声で訴えれば、後ろでくすりと笑った気配。
 途端に、何の予告も無く杖が後退を始めた。かと思うとぐいっといきなり突き込まれる。
「アッ!アッ!ひァ…ぁんっ!」
 ぐりぐりかき回されて、硬い木の棒が内壁を抉る感触にビクビクと腰が跳ねる。上下左右、更に前後に激しく擦り上げられる。ぐちゅぐちゅと卑猥な音が羞恥心をかき立て、それが余計に体を敏感にした。
「…ひッ、イッ!……いぁ、ぁ……んくぅッ…!」
 ナルトは夢中で腰を振った。杖がより深く入るように尻を突き出し、左右に身を捩って自ら内壁に擦り付ける。
「すごいね、ココ。こんなに喰い付いちゃって」
 カカシは苦笑して言い、更に激しく突き立てた。杖の先端に絡めた潤滑油がぬちゅぬちゅと飛び散るほどの勢いで、少年の後腔をめちゃくちゃに犯す。
「あはぁ…あぁぁ!…ア!ぁんんッ!」
 目が眩むような快感。意思に関係なくビクビクと腰が跳ねて、その度に杖がぐりっと内部を抉る。
「はぁっ!はぁっ!あぁ…ィあ、あ…ッ!」
 ナルトはがくがくと崩れそうになる下肢に必死に力を入れて、硬い先端をイイ所に導いた。敏感な一点を無機質な棒で容赦無く嬲られ、ずぐん、と直接熱い塊が自身に押し寄せる。その想像を絶する快楽に、少年は身も世も無く乱れ狂った。
「イイ…ッ!ぁっ…ィ…クぅ…!ぅいッ……ぃぁぁああぁッ!!」
 激しい吐精感に、ナルトはぎゅうっと全身を強張らせて絶叫した。快感の塊を思い切り吐き出す。けれど、カカシの攻めは終わらなかった。ビクビクと噛み付き締め上げる蕾に、より速く強く、繰り返し木の杖を突き刺す。カカシはにやりと唇の端を吊り上げた。
 そんな先端の小さな出口からでは吐き出しきれないほどの快感を。
「───ひ…ッ!?ひィ!ヒぁあッ…!!」
 射精しても尚治まらない凶暴な熱に、少年は陸に上った魚のように痙攣した。ビュクビュクと引っ切り無しに精が飛び散り、閉じることを忘れた唇からは唾液と一緒に掠れた悲鳴が迸る。
「……ぃやあぁぁぁぁっ!!」
 少年が一際高く鳴いた。すっかり薄くなった粘液が、これで最後とばかりにまるで尿のような勢いで放出される。
「………は…ぁ……ぁ……」
 ずるりと杖を引き抜かれ、ナルトはくてんと横に倒れた。散々いたぶり尽くされた秘穴から、潤滑油と体内からの分泌液がトロトロと流れ出て絨毯に伝う。
 くすくす笑って、カカシが杖を放り出した。カラカラ…と乾いた音が部屋の隅で響いて消えた。
「さぁて、サービスはお終いだよ……?」
 邪魔な眼帯を外すと、彼はドロドロになった秘部も露わにして転がる少年をひょいと抱え上げた。向かう先は、勿論部屋の中央に鎮座する寝台であった。



 嵐のような時間が過ぎて。
「納得いかないってば」
 うつ伏せのまま肘で体を起こして、ナルトが不満そうに唇を尖らせた。その頬は、ほんのりと情交の余韻を残して上気している。
「───何が?」
 その隣、一つ布団に包まってカカシが寝返りを打った。頭の下で腕を組み、少年を見上げる。
 眉間に皺を寄せて、ナルトは荒く鼻息を吐いた。
「タイミング悪過ぎなんだってばよ」
「だから、何がよ」
 呑気な大人の問いに、ナルトがキッと振り返った。眠そうな半開きの目を睨んで悔しそうに喚く。
「どーしてこう俺が何か失敗した時に限って見に来るんだってばよ!」
 カカシは一瞬キョトンと目を瞬いた。それから、何かを堪えるように口を引き結んで視線を泳がせる。訝る少年の目の前で少しの間何かと格闘し、彼はようやく笑いを含んだ声で言った。
「……さぁ、何でだろうねェ?」
 くっくっと、カカシが然も可笑しそうに喉の奥で笑った。



 * * *                  おしまい





『カカナルちょ』の津月茶太郎さまから頂きました。
ちょっと変則的な踏み方をしてしまった20000hit・・・。
それなのにリクエストを受けつけてくださって本当にありがとうございましたvv

実は、リクエストの内容は”裏的なお話”・・・です。
なんていうリクエストの仕方だ!と自分でも思います(汗)
でも何と言うか・・・茶太郎さんの書かれる裏は良いのです。悦なのです。
何が言いたいかと申しますと・・・。
そうです、ただ単に読みたかったんです、茶太郎さんの裏的お話が(開き直り)
そしてこんな素敵なお話を頂いてしまいましたvv
個人的にメイドナルトはかなりの萌え設定ですので、思わずにしゃり。
茶太郎さんの書かれる裏的お話はいつ読んでもどきどきものです!
茶太郎さん、素敵なお話本当にありがとうございました〜vv(^^ゞ



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